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🎂 確率の直感

「23人で50%」がどうしても納得できない人へ——あなたの直感は、実は正しい

2026年8月11日

誕生日は365通りある。なのに、23人集まれば、同じ誕生日のペアがいる確率が50%を超える。教室の後ろから3列ぶんくらいの人数です。

この話を聞いて、素直に「そうか」と思える人はまずいません。だいたいこう思います。「365日あるのに23人? 少なすぎないか」と。半分なら182人くらい必要そうなものです。

この記事では、この問題を実際に20万回シミュレーションした数字で説明します。そして最後に、大事なことを書きます。「そんなに簡単には被らないだろう」というあなたの直感は、間違っていません。あなたが頭の中で解いていた問題では、答えは本当に「182人くらい」なのです。

🎂 人数を動かして確かめる(登録不要・ブラウザで完結)

まず、実際に20万回やってみた結果

議論の前に数字を出します。「n人の部屋」をランダムに20万部屋つくって、同じ誕生日のペアが1組でもいた部屋の割合を数えました(うるう年なしの365日均等、乱数の種は固定)。

人数20万回の実測理論値
10人11.65%11.69%
20人41.14%41.14%
22人47.59%47.57%
23人50.84%50.73%
30人70.53%70.63%
40人89.08%89.12%
50人97.09%97.04%
70人99.92%99.92%

22人では50%に届かず、23人で超える。実測も理論もぴたりと一致しました。ここは議論の余地がありません。

むしろ驚くのは30人以降です。40人学級なら89%。日本の教室のサイズなら、同じ誕生日のペアがいるほうがふつうです。50人集まれば97%で、いないほうが珍しい。心当たりのある人もいるはずです。

なぜ23人で足りるのか——数えているのは「人」ではなく「ペア」

からくりはひとつだけです。

この問題が数えているのは人数ではありません。「2人組の数」です。

「同じ誕生日のペアがいる」かどうかを判定するには、部屋の中のすべての2人組を総当たりで見比べる必要があります。AとB、AとC、BとC……と。

その組み合わせの数は、人が1人増えるたびにすでにいる全員ぶん増えます。3人目は2組、4人目は3組、10人目は9組を新しく連れてきます。人数は足し算でしか増えないのに、ペアの数は積み上がっていく。

人数比べるペアの数
5人10組
10人45組
23人253組
40人780組

23人しかいない部屋に、253組のペアがあります。365日に対して253回の抽選です。この数字を見れば、5割に届いても不思議はないと感じられるはずです。

実際、20万回のシミュレーションで「23人の部屋にできた同じ誕生日のペアの数」の平均を数えたら、0.6909組でした(理論値 253÷365 = 0.6932組)。1部屋あたり0.69組ぶんの当たりが出ている計算です。

それでも納得できない人へ:全員が「違う」を引き続ける必要がある

もう一つの見方があります。確率を「起きる側」ではなく「起きない側」から数えるやり方です。

部屋に1人ずつ入れていきます。2人目が1人目と違う誕生日である確率は 364/365。3人目が先の2人どちらとも違う確率は 363/365。4人目は 362/365。「誰も被らない」が成立するには、この全員が違いを引き続けなければいけません。

1回あたりの成功率は99%を超えていて、どれも高い。ですが、これを22回かけ算します。かけ算は容赦がなくて、23人目まで来ると全体では49%まで落ちます。「ほぼ確実」を何十回も続けるのは、まったくほぼ確実ではないということです。

ちなみに、現実にはうるう年があります。2月29日を4年に1回の重みで加えて20万回回すと、23人で50.86%。365日均等の場合(50.84%)とほとんど変わりませんでした。日付の種類が増えても、結論は動きません。

🎂 スライダーで人数を動かして、1万部屋を一気に試す

ここからが本題:あなたの直感が正しくなる条件

ここまで読んでも、まだどこか腑に落ちない人へ。その感覚には、はっきりした理由があります。

あなたはたぶん、無意識に別の問題を解いています。そしてその問題では、答えは本当に「182人くらい」です。

その別の問題とは、こうです。

その部屋に、自分と同じ誕生日の人がいる確率は?

「誰かと誰かが同じ」ではなく「私と同じ」。これも20万回シミュレーションしました。

周りの人数自分と同じ誕生日の人がいる確率(実測)理論値
23人6.11%6.12%
50人12.88%12.82%
100人24.02%23.99%
182人39.49%39.31%
253人50.06%50.05%

23人だとわずか6%です。「23人程度で被るわけがない」というあなたの感覚は、こちらの問題については完全に正しい。そして50%に届くのは253人。あなたが直感で出した「182人くらい」に、桁として近いのはこちらです。

違いは一点だけ。自分が比較に参加しているかどうかです。「私と同じ人」を探すとき、比べているペアは22組(自分と他の全員)しかありません。一方「誰かと誰か」なら253組を見ます。同じ23人の部屋なのに、見ているペアの数が11倍以上違う。だから確率も 6% と 51% に分かれます。

23人の部屋で比べるペア実測
誰かと誰かが同じ253組50.84%
自分と同じ人がいる22組6.11%

ここに気持ちのいい符合があります。23人の部屋にできるペアの数が253組。そして「自分と同じ誕生日」が50%に届く人数が253人。偶然ではありません。どちらも「253回の抽選をした」という同じ話をしているだけです。

つまり「23人で50%」に驚くのは、確率の感覚が鈍いからではありません。人は自分を中心にして数を数えるからです。部屋を見渡したとき、まず探すのは「私と同じ人」です。その視点は日常では正しく、この問題でだけ外れる。それだけのことです。

「自分のクラスでは被ってなかった」という人へ

「うちの30人のクラスに同じ誕生日の人はいなかった」——これも当然です。30人でも約3割は被りません(実測70.53%が被る側)。1クラスぶんの経験は、確率の判定材料としては弱すぎます。

試しに、23人の部屋を10回つくるのを20セット繰り返してみました。10回のうち何回ペアが出たかの記録です。

6, 3, 3, 7, 6, 7, 5, 5, 7, 5, 7, 3, 2, 6, 6, 2, 6, 4, 5, 7

理論上は10回中5回のはずですが、20セット中6セットは4回以下でした。10回試して2回しか出ないセットも2つあります。この経験をした人は「23人で50%なんて嘘だ」と確信するでしょう。

確率の話で最後に効くのは回数です。そこで、人数をスライダーで動かしながら、1万部屋ぶんを一気に集めて確かめられるページを作りました。理論の曲線と、実際に集めた点が重なっていく様子が見られます。「自分と同じ誕生日」の確率も並べて表示するので、上の6%と51%の差もその場で確認できます。

🎂 誕生日のパラドックスを動かして確かめる

この記事の要点

※数値はすべて、この記事のために実際に計算した実測値です。各項目とも1条件あたり20万回の試行で、乱数の種を固定して再現可能な形で計算しています(誕生日は365日を等確率としたもの。うるう年を加えた版は本文中に別記)。理論値とのわずかな差は、試行回数に由来する誤差です。「10回×20セット」は同じコードで別に走らせた記録をそのまま載せています。

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