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🎲 数字の読み方

3,000回で出した数字を10万回で測り直したら、ほとんど動かなかった——標本はいくつ必要か

2026年8月11日

「何回測れば足りるんですか」という問いに、一般的な答えはありません。 測るものによって、必要な回数が桁で変わるからです。

この記事では、私が同じ月に測った2つの実例を並べます。 片方は18回では足りず、500回で結論がひっくり返りました。 もう片方は3,000回で十分で、10万回に増やしてもほとんど動きませんでした

違いはどこにあったのか。測る前に見分ける方法まで書きます。

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例1:18回では足りなかった

ペンギンを積むゲームを作っていて、いちばん易しいAIの強さを調整していました。 「人間にも勝ち目がある」状態にしたい。18回対戦させて、勝率を測りました。

手を入れる前と後で、12% → 28%。倍以上になっています。 「土台を広げたから勝てるようになった」と結論しました。

気になって、500回で測り直しました。

測った回数手を入れる前手を入れた後
18回12%28%
500回19%19%

差はゼロでした。18回で見えた「倍以上」は、たまたまです。 しかもこの状態だと、コードを1行も変えていないのにテストが赤くなったり緑になったりします

例2:3,000回で十分だった

もうひとつは診断です。勉強のつまずき方を8つの型に分けて、 15問こたえると自分がどれに近いかが出るものを作りました。

作るときに確かめたかったのは、「8つ全部に到達するか」「1つが半分を超えていないか」の2つです。 ランダムに答えるプログラムで 3,000回まわして、出方を数えました。

そのあと、10万回で測り直しました。

3,000回10万回
何から手をつけるか決まらない型26.7%26.4%0.3pt
質問できない型15.7%15.1%0.6pt
前日にまとめてやる型14.5%14.5%0.0pt
わかった気になる型12.0%11.7%0.3pt
完璧主義で止まる型10.5%10.7%0.2pt
人と比べて凹む型7.6%7.8%0.2pt
量はやるが伸びない型6.5%7.4%0.9pt
集中が続かない型6.5%6.3%0.2pt

いちばん動いたもので0.9ポイント。順位も変わっていません。 33倍に増やして、結論は1つも変わりませんでした。

何が違ったのか

同じ人が同じ月に測って、片方は足りず、片方は足りた。違いは3つあります。

1. 何を知りたかったか

例1で知りたかったのは「2つの数字に差があるか」でした。 これはいちばん回数が要る問いです。12%と28%のような 「ありそうな差」を確かめるには、数百回では足りないことがあります。

例2で知りたかったのは「0のものがあるか」「半分を超えるものがあるか」でした。 これは粗い問いです。26%と6%くらい離れていれば、数千回で十分に見分けがつきます。

2. 1回あたりのブレの大きさ

例1のゲームは、1回の対戦で積み木が崩れるかどうかが物理演算で決まります。 ちょっとした初期値で結果が変わるので、1回1回のブレが大きい。

例2の診断は、15問それぞれで点が入るだけです。 1回の中で15回ぶんの平均が取られているので、そもそもブレが小さい。

3. 差の大きさ

これがいちばん効きます。見たい差が小さいほど、必要な回数は跳ね上がります。

目安として、差が半分になると、必要な回数は4倍になります。 10ポイントの差を見るのに100回で足りるなら、 5ポイントの差には400回、2.5ポイントには1,600回要る、という増え方です。

測る前に見分ける

3つを組み合わせると、測る前にだいたい判断できます。

こういうときは回数
「0か、0でないか」を見たい少なくてよい
「大きく違うか」を見たい(3倍以上など)数百回
「わずかに違うか」を見たい桁が変わる。数千〜数万回
1回ごとのブレが大きい(物理・運の要素が強い)さらに増やす

そして、いちばん大事なことがあります。

実は、あなたの「なんか怪しい」は正しい

例1のとき、私は数字を見て納得しました。12%が28%になっている。 グラフにすれば、きれいに伸びて見えます。

それでも「なんか怪しいな」と思ったので測り直しました。 その違和感は正しかった。

なぜ怪しいと思えたのか。あとから考えると、 18という数字が小さすぎることを、感覚が知っていたからです。 18回のうち2〜3回結果が変われば、勝率は10ポイント以上動きます。 人は「サイコロを18回振っただけで偏りは分からない」ことを、 説明できなくても知っています

だから、覚えることは1つだけで足ります。

数字を見たら、母数を聞く。 「何回測ったんですか」。それだけです。 答えが返ってこない数字、あるいは2桁の数字だったら、 いったん結論を保留して、桁を1つ増やして測り直す。

正しさを判定する必要はありません。根拠が書いてあるかを見るだけです。

この記事の要点

🧭 例2で使った診断を試してみる(15問・2分)

※ 例2の数字は、公開している診断と同じコードに対して、 各設問をランダムに選ぶプログラムを走らせた実測値です (3,000回と100,000回。2026年8月に測定)。 「ランダムに答えた場合の出方」であって、世の中の人の割合ではありません

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