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📚 勉強のやり方

テスト対策より先に「レベル上げ」をする——塾講師の、たぶん理想論

2026年8月11日

私が生徒に教えるときは、なるべくhow(どうやるか)だけでなく why(なぜそうするか)まで 説明するようにしています。手順だけ渡したほうが、その場は速いのに、です。

理由は2つあります。

1. 理由が入るとストーリーになり、感情が発生する

手順だけの説明は、意味のない記号の並びです。 「まずこれを両辺にかけて、次にこれを移項して」。覚えられません。

「なぜ」が入ると、そこに流れが生まれます。 こうしたいからこうする、という筋が通る。ストーリーになる

そして筋が通ると、感情が発生します。 「なるほど、そういうことか」「うわ、うまいことやるな」。 人間は、感情の乗った話をよく覚えていて、よく思い出せます。 覚えやすく、思い出しやすい。これが1つ目です。

2. 知識ではなく考え方が増えると、応用に届く

2つ目のほうが本命です。

手順を覚えると、その問題が解けるようになります。 理由まで分かると、その考え方が使える問題が全部解けるようになります

知識や考え方が増えれば、それが応用につながる。 そして私が本当に上げたいのは、 その子の「頭のレベル」そのものです。

ボス対策と、レベル上げ

ここはゲームで言ったほうが早いです。

勉強でいうと効く範囲
ボス対策 そのテストの範囲だけを一問一答で詰める そのボスにしか効かない
レベル上げ なぜそうなるかを含めて、考え方を身につける どの相手にも効く

私の方針は「まずはレベル上げ」です。 ボスにしか通用しない対策は、ギリギリまでしない。

レベルを上げておけば、別の相手をするときにも効きます。 要領がいい、地頭がいいと言われる状態は、 この積み上げの結果として出てくるものだと私は思っています。

ただし、時間がないなら対策でいい

正直に書きます。時間がないという理由があるときは、対策でいいです。

明後日がテストで、まだ範囲の半分が白紙なら、 そこで「なぜ」から積み上げるのは間に合いません。 そういうときは割り切って、出る形を詰めます。

私が言いたいのは順番の話です。 時間がないという理由がない限りは、レベル上げをする。 そして多くの生徒は、 「時間がない」を、時間があるうちから言っています。

これは理想論です

念のため書いておくと、これは私の理想です。 現実には範囲も日程も決まっていて、点数はすぐ必要になります。

それでも、今日1問だけでいいので「なぜこの式なのか」を一言で言ってみる。 これはテスト前でもできます。 レベル上げは、まとまった時間がないとできないものではありません。

「なぜ解けるのか」を、3つの例で

理由まで分かると応用に届く、と書きました。抽象的なので、具体例を出します。

例1:移項すると符号が変わる

手順として覚えると:「左から右に移すとき、+は−にする」。 これで一次方程式は解けます。でも、それだけです。

理由まで知ると:移項という操作は存在しません。 やっているのは「両辺から同じ数を引く」だけです。 x + 3 = 7 の両辺から3を引くと x = 7 − 3。 結果として、左の+3が右で−3になって見えるだけです。

これが分かると、次が全部同じ話になります。

手順で覚えた人は、この4つを別々に4回覚えます。 理由で覚えた人は、1回で済みます。これがレベル上げです。

例2:なぜ平方完成をするのか

手順として覚えると:「xの係数を半分にして2乗して足して引く」。 やり方は言えるのに、いつ使うのかが分からない状態になります。

理由まで知ると:やりたいのは「グラフの頂点を知ること」です。 y = (x − p)² + q の形にすれば、頂点が (p, q) だと一目で分かる。 そのために式の形を変えているだけです。

目的が分かると、問題文に「頂点」と書いていなくても、 最大・最小を聞かれた瞬間に「じゃあ平方完成だな」と自分で判断できます。 手順しか知らないと、「平方完成しなさい」と書いてある問題しか解けません。

例3:歴史も同じです

年号として覚えると:「1192年、鎌倉幕府」。 出るのは「何年ですか」という問いだけです。

理由まで知ると:なぜ鎌倉だったのか。 三方を山に囲まれ、残る一方は海。攻めにくい地形だからです。 そして、なぜ京都から離れたのか。朝廷から距離を取るためです。

ここまで知っていると、次のような問いにも届きます。

年号は1問にしか効きません。理由はその周辺全部に効きます。

理由を知ると、なぜ忘れにくくなるのか

もう1つ効果があります。思い出せるようになります。

「係数を半分にして2乗する」は、記号の並びです。手がかりがありません。 「頂点を知りたいから形を変える」はです。 目的 → 困りごと → 解決という筋があります。

人間は、筋の通った話を覚えるのが得意で、記号の並びを覚えるのが苦手です。 だから理由を入れると、思い出すための取っかかりができます。 忘れても、「たしか頂点を知りたかったんだよな」から手順を再構成できる。

今日からできること: 解けた問題を1問選んで、「なぜこのやり方でいいのか」を一言で言ってみてください。
言えなければ、それは手順を覚えているだけです。 そこがレベル上げの、いちばん効く場所です。

この記事の要点

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