岩手・盛岡の地酒といえば、まず名前が挙がるのが「あさ開(あさびらき)」。明治4年(1871年)創業、南部杜氏の伝統を今に受け継ぐ県内屈指の老舗蔵です。四季折々の酒を出すあさ開ですが、夏にこそ手に取ってほしいのが「生酒(なまざけ)」。今回は、暑い季節に生酒がうまい理由と、あさ開の夏酒の楽しみ方を紹介します。
日本酒は通常、出荷までに「火入れ」と呼ばれる加熱殺菌を二度行います。生酒はこの火入れを一切行わない酒のこと。酵母や酵素が生きたままなので、搾りたてのフレッシュな香りと、口に含んだ瞬間にはじけるような瑞々しさが残ります。
その代わり品質の変化が早く、冷蔵管理が必須。かつては蔵の近くでしか呑めない酒でしたが、冷蔵流通が整った今は、盛岡から遠く離れた土地でもこの「生きた酒」を味わえるようになりました。
夏の生酒の魅力は、なんといっても冷やしたときの切れ味です。
ビールの一杯目もいいけれど、二杯目に冷えた生酒を挟むと、夏の晩酌がぐっと豊かになります。
あさ開は「南部流の丁寧な仕込み」を守りながら、時代に合わせた酒を出し続けてきた蔵です。敷地内に湧く名水「大慈清水(だいじしみず)」(平成の名水百選)を仕込み水に使い、地元の酒米を積極的に採用。全国新酒鑑評会での受賞歴も多く、技術力には定評があります。
夏場には、生酒や生貯蔵酒など、冷やして楽しむことを前提にしたラインナップが登場します。ラベルも涼しげな夏仕様になることが多く、贈り物にも喜ばれます。店頭では冷蔵ケースに並んでいるはずなので、「要冷蔵」の表示を目印に探してみてください。
夏の生酒は「その季節にしか呑めない」一期一会の酒です。盛岡の老舗・あさ開が仕込む夏の一本は、岩手の水と米、そして南部杜氏の技が詰まった夏の贅沢。今年の夏は、キンと冷えた生酒で乾杯してみませんか。