Claude Code で作業していて、片方のアカウントが週間の利用制限に当たりました。手元にはもう一つ、 別契約のアカウントがあります。ならそちらで続ければいい——のですが、これが思ったより面倒でした。
何をどこまでやったか、どのファイルが正本か、何をやってはいけないか。経緯を全部貼り直す必要があります。 それが面倒で、結局しばらく作業が止まっていました。
止まっていた時間を後から数えたら、実稼働2時間45分に対して停止7時間57分。 そのうち3時間50分は「作業を終えて報告し、次の指示を待っていた」だけの時間でした。 道具ではなく、段取りの問題です。
この記事は、その段取りを直したときの具体的な手順と、実際に踏んだ失敗の記録です。 2台で分担させること自体の考え方は 別の記事に書いたので、ここでは手を動かす側だけを扱います。
2つのアカウントを、同じ端末マネージャ(ここでは Orca)の左右のペインで開きます。 そのうえで、片方のターミナルからもう片方のターミナルへ直接文字を送れるようにしました。
まず相手のIDを調べます。
orca terminal list
返ってきた一覧から相手のターミナルIDを拾って、指示を送ります。
orca terminal send --terminal term_yyyy --text "指示の本文" --enter
これだけです。左のペインで動いている Claude Code が、右のペインの Claude Code にタスクを渡せます。 人間がコピペする必要はありません。
--enter を忘れると、送信は成功するのに何も起きないこれで一度、30分近く無駄にしました。
--enter を付け忘れると、文字は相手の入力欄に入りますが、実行されません。
厄介なのは、送った側には Sent 383 bytes のように成功が返ってくることです。
相手が黙っているので「考え込んでいるのかな」と待ってしまいます。
対処は2つあります。
orca terminal read で相手の状態を見る。実行中の表示が出ていれば通っている「送信成功」と「実行開始」は別物——これが最初の教訓でした。
orca terminal read で相手の画面は取れます。ただ、ターミナル上で動くUIは
書き換えが激しく、結論だけを綺麗に抜き出すことはできません。
実行中かどうかの判定には使えますが、成果物の中身をここから拾おうとすると失敗します。
そこで結果は必ずファイル経由にしました。指示の中にこう書いておきます。
結果は D:/path/to/RESULT.md に書いてください。
終わったら末尾に STATUS: DONE と入れてください。
司令塔側はそのファイルだけを読みます。画面を読み取ろうとするのをやめた時点で、確実になりました。
シェル経由で長文を送ると、引用符やバックスラッシュで壊れます。
日本語のWindowsパスは特に危ない。D:\共有フォルダ\2026... の \2 が
制御文字として解釈されて、パスが別物になる事故を実際に起こしました。
対策は単純で、長い指示はファイルに書いて、パスを1行だけ送ることです。
orca terminal send --terminal term_yyyy --text 'D:/path/to/handoff.md を読んで、そのまま作業に入ってください' --enter
ファイルの中に、文脈・担当・禁止事項・完了条件を書いておきます。 ここで大事なのは、受け取る側はコンテキストがゼロだと想定して書くことです。 チャットをリセットした直後の相手が、そのファイルだけで動き出せるか。それが基準になります。
意外に効いたのが禁止事項でした。自律的に動く相手ほど、 「やること」より「やってほしくないこと」を明示する必要があります。 実際にこちらで書いているのは、たとえば「push しない」「個人情報を公開側に持ち込まない」といった行です。
効果は3つありました。人間がコピペする回数がゼロになったこと。片方が制限に当たっても、 もう片方が続きを持てるようになったこと。そして片方が調べ物、もう片方が文章、という同時並行ができるようになったこと。 制限対策として始めたのに、いちばん大きかったのは最後の並列性でした。
正直に書いておくと、万能ではありません。
| 向いていない | 理由 |
|---|---|
| 細かい往復 | 投げて、待って、ファイルで受け取るので1往復に数分かかる。3行の修正には重い |
| 品質の担保 | 成果物を読んでレビューする手間は消えない。むしろ増える |
| 同じファイルの同時編集 | どちらが正本を持つか決めておかないと簡単に壊れる |
粒度としては「30分〜数時間で完結し、成果物がファイルで渡せるもの」がちょうどよかったです。 調査、下書き、独立した実装、レビュー。このあたり。
--enter を忘れない。送信成功と実行開始は別※2つの正規契約を並行して使っている運用の記録です。利用制限そのものを回避する方法ではありません。 数字はすべてこの環境での実測です。